新宿区 経済の一区切りの香り 2018年12月

化粧品に関する2018年最終月に感じる「経済の一区切りの香り」であるが、

これは新宿区の話である。

世の中の人が化粧品の商圏についてどの程度新宿区を重視しているか知らないが、
大繁華街を抱える新宿駅だけで、乗降合わせての各社合計(私鉄各社含む)では360万人を超えると言われ、世界一利用者の多い駅としてギネスブックにも認定されたところである。

だから、私は非常に大切にしている地域である。

さて、最近その乗降者が化粧品を購入している箇所がより限られてきた感がある。
特に百貨店での化粧品売り場が盛り上がっているのを見ることはなくなった。
百貨店によっては、オーガニックやサスティナビリティをテーマにした化粧品が、ブランド化粧品が連なる1階より上層の特設売り場、コンセプトフロア、インテリア生活雑貨フロアなどに分散して販売している。
それらのコーナーに人が並び、カウンターでカウンセリングを受けている女性の姿は今年の春の1/3以下ほど、そのような人気(ひとけ)だ。

では、どこで人を多く見るのか?というとコンビニエンスストアやドラッグストアである。
そんなことは、以前からそうではないか?と言う人は多いであろう。

 

今年の夏ごろは外国人だけでなく日本人を百貨店で見かけた。
激暑が終り、いつもの秋の5倍以上傷んだハズの肌をどこの化粧品で癒すのか気になったが、それは、百貨店で販売するブランド化粧品ではないようだ。
そして、上層階の環境やナチュラルヘルスケアコンセプトの化粧品でもないということだ。

 

ここで少し、百貨店のことを書いておく....

百貨店集客は、最初に食品売り場を制することである。
そして、ポピュラーな売上を作るのは2階までである。
少なくとも店側の本音はそうである。だから、営業畑を経験して欲しいと願う百貨店の経営者は出世させるつもりのエリート社員を食品売り場と靴売り場に配属する。

中小の化粧品会社が、百貨店で売ることをステイタスとし、売上を度外視してもフラッグシップのような気持ちで売り場を作りたがる人は多いが、実際には、希望するような売れ行きにはならない。
何故なら、2階以上には客は行かないのだ。
エレベーターで最上階に直行することはあっても、エスカレーターで上る人は実際には何かが売れるほどはいない。これは、百貨店販売全盛期から現在でも変わっていない。

 

商品の基礎知識、サービスやホスピタリティに期待値が下がった話はよく聞くが、売れない理由は総合的なことであり、販売の「箱」その物の在り方が変わらない限り危機的状況を回避できるとは思い難い。

 

そして、今後5年ぐらいは化粧品の売れ行きを百貨店に期待するのは厳しいと想像する。